3次元的問題に配慮した治療
前後的問題の解決だけで良いのでしょうか?
ご相談内容に多い主訴に「口元が出ている」「あごがない」などがあります。もっともわかりやすい問題がこのような前後的問題であるといえるでしょう。実際に検査をしてわかることは、決して歯が出ているわけではなく、あごが後下方に回転しているケースが多いということです。これは垂直的(上下的)な問題であり、このようなケースに対してただ前歯を下げるだけではなかなか見た目は改善せず、むしろ顔が長く見えたり、人中が伸びて見えたりという結果になります。
私自身の経験や再治療症例を通して、10年ほど前から歯科矯正用アンカースクリューを用いた垂直的問題に対した治療を行ってきました。上記のようなケースの場合は前歯を下げすぎず、あごを前上方に回転していくことで横顔を改善するアプローチです。そのほかにガミースマイル(笑った時に歯茎が見えすぎる)や開咬(前歯が当たらない)もこの方法を応用して治療しています。
さらにあごが左右に曲がっていたり、上下の奥歯の幅が合っていない場合があります。
これは水平的問題(左右的問題)ですが、外科的手術を避け、歯科矯正用アンカースクリューと矯正のみである程度は改善できるようになりました。ただし、左右へ曲がりに関しては一部を除き根本的改善は難しいため、曲がりが最も気になるポイントである場合は外科的手術をお勧めしています。
以上のように、歯科矯正用アンカースクリューを3次元的問題の解決に使用することで、以前より様々なお悩みにお応えできるようになりました。ただし、万能ではありませんので、カウンセリング時にできることとできないことをはっきりお答えするようにしています。3次元的なお悩みをお持ちでしたらカウンセリングにお越しください。
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用
- 治療開始当初は矯正装置による不快感、痛み等を生じることが多いですが数日から1~2週間で慣れる方が多いです。
- 歯の動き方には個人差があるため、想定した治療期間より長くなることもあります。
- 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正歯科治療には患者様の努力・協力が必要不可欠です。それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 治療中は、装置の装着により歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まるため、丁寧なブラッシングや、定期的なメンテナンスが重要になります。また、歯が動くと見えなかったむし歯が見えるようになることもあります。
- 歯を動かすことで歯根が吸収して短くなることがあります。また、成人の方の場合、歯の移動により歯ぐきが引っ張られ下がったようになることがあります。
- ごくまれに歯が骨と癒着し、歯が動かないことがあります。
- ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受け、神経が死ぬことがあります。
- 治療中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
- 治療中に「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 歯を削ることで歯の形を修正したり、噛み合わせの微調整を行う可能性があります。
- 矯正装置を誤飲する可能性があります。ほとんどの場合、問題ありません。
- 装置を外す際、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、被せ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 装置を外した後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- 装置を外した後、治療により変化した噛み合わせに合わせて被せ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやり直す可能性があります。
- 顎の成長発育により噛み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずの萌出などの影響で凸凹が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病等により歯を支えている骨が痩せると噛み合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になる場合があります。
- 前歯を後退させた治療後に、ほうれい線が深くなったり、口唇周囲の皺が目立つようになる可能性があります。
- 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
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