治療を始める前に
矯正中のむし歯、歯周病対策
矯正治療では、比較的長い期間を通して固定式装置を装着することがあるため、清掃が行き届かない場合、むし歯や歯肉の炎症の原因になる可能性があります。
その予防対策として、当院では装置装着前に唾液検査でむし歯や歯周病のリスクの判定を行い、リスクに応じた指導・処置を行います。
また、装置装着中は毎回の歯のクリーニング、フッ素塗布や必要に応じて歯石除去及び指導を行い、口腔内環境の向上に努めています。
唾液検査
むし歯や歯周病菌はお口の中の細菌による感染症であり、これらの疾患は生活習慣、お口の中の状態と細菌量などを測定できる唾液検査をもとにした総合的評価が有用です。
当院では唾液をもとにした臨床検査によりむし歯と歯周病リスクを図表化し、予防に役立てています。
痛みはありませんが、検査結果に影響する直前の歯磨きなど、カウンセリング時に注意事項をお話することがあります。
歯のクリーニング
1.PTC(Professional Tooth Cleaning)
歯ブラシ、デンタルフロスで歯のクリーニングを行います。当院の歯ブラシはすべて滅菌済みです。
2.PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)
専用器具とフッ素配合の研磨ペーストを用いて歯面のプラークや歯石・着色を除去する、高度なクリーニング法です。
ブラッシング指導
唾液検査の後、リスクに応じて磨き方の指導、歯ブラシの種類を選択します。
ブラッシング圧、時間と歯磨き粉の量についてお話しています。
フッ素塗布
フッ素は歯の表層のエナメル質と呼ばれる部分の構造を安定させる効果があり、むし歯への抵抗性が向上します。治療間隔に応じて濃度を選択して使用します。
塗布後30分はうがいができませんが、どれも味がついており不快感は少ないです。
抜歯に関して
すべてのドクターができるだけ健康な歯を残したいと思っています。しかし、矯正治療の5つの目的を達成するためには、歯を抜く処置が必要になる場合もあります。
矯正治療を行う必要がある場合は必ず原因があります。原因は様々ですが、日本人に多いのは歯と顎の大きさの不調和、すなわち歯の並ぶスペース不足という問題です。成長の可能性があるお子様を除けば、この問題を解決するためには横、前もしくは後方向へ歯を動かすか、歯の数を減らす必要があります。
横方向は歯を支える骨から出ない程度、前方向は口元が飛び出さない程度、後方向は骨の中に埋まらない程度に歯動かすことは可能です。しかし、ひとつひとつは微々たる量ですべてを足し算しても原因が解決できない場合が少なくありません。
これらの量を超えて歯を動かすのは可能ですが、機能性を損なう場合は長期的な安定性に欠ける可能性が出てきます。
当院では成人の患者さんに“歯を抜かない”ための矯正ではなく、“歯を美しく・機能的に並べる”ための矯正を目標にしています。そのため歯を抜かなくても“歯を美しく・機能的に並べる”ことが可能な場合は歯を抜かず、抜く場合は可能な限り状態の悪い歯を選択します。
精密検査の結果をもとに、患者さんのご要望と合わせて総合的に抜歯・非抜歯などの診断をし、メリットとデメリットを詳しくご説明いたしますので心配な点はお気軽にご相談ください。
痛みに関して
矯正中は“浮いたような痛みがある”“食べ物を噛むとき痛い”“ワイヤーが当たって痛い”などと痛みが評されることは少なくありません。痛みの原因の1つは、装置による歯への圧力によるもので、個人差はありますが通常ワイヤー調整から2~6日程度で治まる方が多いです。
私自身、矯正治療を経験していますが、3日程度で治まるのが普通でした。また、上下の歯に別の種類の装置を付けていました。一方は従来の装置、もう一方はワイヤーとの摩擦の少ない装置を。個人的な感想ですが、痛みの差は少なからず存在します。経験に基づき当院では摩擦の少ない装置を選択しています。
もうひとつの原因はワイヤーや装置の角が当たることです。こちらの痛みは時間が経っても治まらないことが多いため、カバーをあらかじめ付けたり、なるべく角の少ない装置を選択して対応していますが、痛くなった場合はご来院いただき、カバーをし直すことが痛みを和らげる確実な方法です。
歯並びの種類
歯がデコボコ/叢生(そうせい)
顎が小さい、または顎に対して歯の幅が大きい場合に起こります。歯の生える場所が足りないので、凸凹に生えたり、重なりあって生えた状態です。また、いわゆる八重歯も叢生に分類します。凸凹の場所はどうしても磨き残しができやすく、虫歯、歯周病の原因になる場合があります。
出っ歯/上顎前突
上の歯が前に出ている噛み合わせを上顎前突(出っ歯)といいます。上の歯だけが出ている場合、上顎そのものが出ている場合と下顎が後退している状態があります。
歯が出ていると、スポーツ中や転んで地面に前歯をぶつけたり、折れた歯を治してもまたぶつける可能性が高いです。
受け口/反対咬合
下の歯が上の歯より前に出ている噛み合わせを反対咬合(受け口)といいます。受け口の人は、食べ物がよく噛めないだけでなく、聞き取りにくい話し方になる場合があります。下の歯だけが出ている場合、下顎そのものが出ている場合と上顎が後退している状態があります。
すきっ歯/空隙歯列
すきっ歯になる原因は、顎に比べて歯の大きさが小さい、歯の本数が少ないほかに舌で前歯を押し出す癖などが挙がります。
また、歯周病などで歯が病的に動きやすくなった場合、歯が舌に押されてすきっ歯になってしまうことがあります。
前歯が当たらない/開咬
奥歯をしっかり噛み合わせても、上下の前歯が噛み合わず隙間ができてしまう状態。口が閉じにくい、発音しづらいなどの問題や、顎関節に問題がある場合が少なくありません。
下の前歯が見えない/過蓋咬合
奥歯をしっかり噛み合わせると、上の前歯が下の前歯に深く覆い被さり、下の歯がほとんど見えない状態。上の歯ぐきの見え方が気になる方に多く見受けられます。
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用
- 治療開始当初は矯正装置による不快感、痛み等を生じることが多いですが数日から1~2週間で慣れる方が多いです。
- 歯の動き方には個人差があるため、想定した治療期間より長くなることもあります。
- 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正歯科治療には患者様の努力・協力が必要不可欠です。それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 治療中は、装置の装着により歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まるため、丁寧なブラッシングや、定期的なメンテナンスが重要になります。また、歯が動くと見えなかったむし歯が見えるようになることもあります。
- 歯を動かすことで歯根が吸収して短くなることがあります。また、成人の方の場合、歯の移動により歯ぐきが引っ張られ下がったようになることがあります。
- ごくまれに歯が骨と癒着し、歯が動かないことがあります。
- ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受け、神経が死ぬことがあります。
- 治療中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
- 治療中に「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 歯を削ることで歯の形を修正したり、噛み合わせの微調整を行う可能性があります。
- 矯正装置を誤飲する可能性があります。ほとんどの場合、問題ありません。
- 装置を外す際、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、被せ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 装置を外した後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- 装置を外した後、治療により変化した噛み合わせに合わせて被せ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやり直す可能性があります。
- 顎の成長発育により噛み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずの萌出などの影響で凸凹が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病等により歯を支えている骨が痩せると噛み合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になる場合があります。
- 前歯を後退させた治療後に、ほうれい線が深くなったり、口唇周囲の皺が目立つようになる可能性があります。
- 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
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