矯正治療の5つの目的
1.歯の並びの変化
矯正治療という響きによってまず連想するのは、歯並びを変えることではないでしょうか。「歯が凸凹」「歯のすき間」といった問題を気にされる患者さんは少なくありません。またその場合、見えやすい前歯の相談が多いようです。
矯正治療の1つ目の目的は、まさしくこういった問題を解決するもの、すなわち歯の並びやそれぞれの歯の位置を変化させ、美しくすることです。これは前歯に限らず、見えにくい奥歯も含めた変化を意味します。
2.噛み合わせの変化
矯正治療の目的は歯並びの変化だけではありません。歯には大きく分けて4つの種類がありますが、それぞれが異なった機能を担っており、そのために形が違います。
ただ歯並びが良いだけでなく、ひとつひとつの歯が、与えられた機能を充分に発揮できる噛み合わせをつくることが矯正治療の大きな目的です。このため、医療としての価値が高く、医療費控除の対象になります。
さらに、歯のすき間や上下の顎のズレによってサ行やパ行などの発音がうまくできない場合があります。
3.顔立ちの変化
口元は、お顔の3分の1以上を占めています。「人は見た目が○割」などと言われますが、その中でも歯や口元は顔の印象を決める上で大きな要素のうちのひとつ。
矯正治療の3番目の目的はお顔の印象の変化です。「口元が出ている」「笑った時の歯ぐきが気になる」といったお顔に関わる問題を気にして来院される場合は少なくありません。
口元の問題を解決するには前歯を奥に動かしたり、歯ぐきの問題の解決は前歯を上に持ち上げたりします。きれいな歯並びだけでなく、ひとつひとつの歯の位置をきちんとコントロールすることで、見た目が変化します。
4.歯の周りの組織の変化
歯は単独で存在しているわけではなく、歯の根っこ(歯根)は骨(歯槽骨)に埋まっており、その周りを歯ぐきが覆っています。しかしながら、歯の並びが悪く、外に飛び出した歯や内側に引っ込んだ歯は歯根が一部、歯槽骨から出ていることがあります。
こうした場合、歯根の周りは歯ぐき1枚の状態で歯周病のリスクが高くなります。このような歯根を可能な限り歯槽骨の中に移動することも矯正治療の目的です。
しかし、歯根を動かすことはお口の中に見えている歯の頭の部分(歯冠)を動かすよりはるかに時間がかかります。見えていないところですが、歯根をきちんと動かすことは歯ぐきのラインを合わせたり、歯周病のリスクを減少させるためにとても大切な事なので、お時間の許す限りお付き合いください。
5.顎の関節と歯の並びの関係性の変化
顎の関節(顎関節)と歯の並びには深い関係があります。ヒトは雑食性であり、他の動物と違った顎関節をしています。例えば肉食性の動物は噛みちぎることを目的にした歯を持っていて、そのため顎関節は口を開いたり閉じたり上下運動のみを行う形をしています。
一方、草食性動物はすり潰すことが目的の歯を持っていて、顎関節は前後左右に動く円運動を行う形になっています。雑食のヒトは両方の目的の歯を持っており、上下運動と円運動の両者を行う顎関節の形です。
顎関節と歯の並びの関係性に問題がある場合は、機能的な問題が生じ、歯または顎関節のいずれか、またはその両方にダメージが蓄積することがあります。このため、顎関節とそれぞれの歯が本来の役割を発揮できるように歯並びを治すことが矯正治療の目的です。
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用
- 治療開始当初は矯正装置による不快感、痛み等を生じることが多いですが数日から1~2週間で慣れる方が多いです。
- 歯の動き方には個人差があるため、想定した治療期間より長くなることもあります。
- 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正歯科治療には患者様の努力・協力が必要不可欠です。それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 治療中は、装置の装着により歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まるため、丁寧なブラッシングや、定期的なメンテナンスが重要になります。また、歯が動くと見えなかったむし歯が見えるようになることもあります。
- 歯を動かすことで歯根が吸収して短くなることがあります。また、成人の方の場合、歯の移動により歯ぐきが引っ張られ下がったようになることがあります。
- ごくまれに歯が骨と癒着し、歯が動かないことがあります。
- ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受け、神経が死ぬことがあります。
- 治療中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
- 治療中に「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 歯を削ることで歯の形を修正したり、噛み合わせの微調整を行う可能性があります。
- 矯正装置を誤飲する可能性があります。ほとんどの場合、問題ありません。
- 装置を外す際、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、被せ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 装置を外した後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- 装置を外した後、治療により変化した噛み合わせに合わせて被せ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやり直す可能性があります。
- 顎の成長発育により噛み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずの萌出などの影響で凸凹が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病等により歯を支えている骨が痩せると噛み合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になる場合があります。
- 前歯を後退させた治療後に、ほうれい線が深くなったり、口唇周囲の皺が目立つようになる可能性があります。
- 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
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